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中国の戸籍制度改革 社会福祉の差別を解消できるか

2016年03月05日

【新唐人2016年3月5日】
 

中国のにぎやかな都市に、「半都市人」と言われる人々がいます。彼らは都市で就職し、長年生活していながら、一般市民と同様の公共サービスを受けられません。最近、国務院は、新たな都市化を推進する戸籍制度の改革を加速するための意見書を公表しました。この措置は、出稼ぎ労働者に対する社会的不公平を是正できるのか、専門家の分析を聞いてみましょう。

 

当局は、体制を確立する当初、戸籍管理制度を作り、中国にいる何億もの農村戸籍所有者は、二等国民としています。長い間、この戸籍管理制度は国民の批判を受け続けてきました。

 

中国国務院は、2014年に『更なる戸籍制度改革の推進』意見書を発表しました。農村戸籍と非農村戸籍の区別をなくし、都市と農村が統一された戸籍制度を確立することを決めました。

 

最近、国務院は再び文書を発表し、戸籍制度の改革を加速し、各地が、戸籍のない人を都市戸籍に登録する実施法案を要求しました。

 

北京の弁護士程海(てい かい)氏は、「中国の法律では、国民が国境内ならどんな場所でも住む自由がある、国民が移住するとき戸籍も移動すると決められています。政府が実施した戸籍改革制度は、実際には、憲法違反行為の訂正に過ぎない」と言います。

 

程海氏
「我々の戸籍法<いわゆる『戸籍登記条例』の規定によると<我々の戸籍は如何なる利益とも関係しない。しかし中国で戸籍は個人情報ではなく、個人の権利を制限する道具になっています。今の住居証明書の発行や農村戸籍の取り消し、これらは改革ではなく、違法行為の訂正です。仮に以前は90%の違法行為があったとするなら、いまは80%になったということで、結局違法の修正でしかありません」

 

中国社会科学院は数年前、11万の農民を対象に、調査を行いました。その結果、1960年代と1970年代生まれの人の80%は、農村戸籍を変わりたくないと考えていました。1980年代生まれの人は75%が変わりたくないと考えています。しかし、都市戸籍の所得が土地の権利との交換になると、その割合は90%になります。

 

農民にとって、非農村戸籍は非常に魅力的だと考えられてきたにもかかわらず、なぜ、その魅力がなくなったのでしょうか。

 

程海氏
「今農村戸籍所有者の一部は戸籍と住宅地が繋がっているから、都市戸籍に変わりたくない。多くの農村戸籍所有者は農村戸籍だから、郊外に土地を所有している。戸籍を変更するのは、いずれ農民の土地を奪うための基礎作りだと考えている人が多く、こうした理由で変更したくないのです」

 

中国労働関係学院教授王江松(おう えそん)氏によると、都市にいる多くの農民工は戸籍変更をしたくない、彼らが都市で受けた圧力は想像できます。

 

王江松氏
「中国の農民にとって土地は命です。土地の転売などは命を差し出すのと同じ、中国では命を差し出しても、何の保障もない可能性がある。それなら 絶対できません。農民が土地を差し出さないのは、保障があるように思えないから。また、今の生活より良い保障がないからです」

 

統計によると、農村戸籍と都市戸籍所有者の間の福祉の差は何十項目もあります。就職、教育、住宅、医療、年金、そして退職軍人の経済的補助や交通事故の損害補償等です。

 

王氏は、「形式上の差別解消は、紙一枚のことで、戸籍の裏にある公共サービスや社会福祉の不公平の是正がないと意味がない」と話しています。

 

王江松氏
「農村戸籍の人は公共サービスや社会福祉を受けられない。あるいは 都市に来ても都市戸籍の人と同様の待遇を受けられない。これなら何の意味もない。関係している多くの制度の訂正と実施が確実に実行できなければ、あれこれ公表しても役に立ちません」

 

コメンテーターのジェイソン・マ氏が『希望の声』のインタビューを受け、「中国当局のこの措置は「安定維持」のため、都市部と農村部の社会的対立を緩和するためのもので、戸籍制度を取り消すわけではない、しかし、この戸籍制度こそが、中国当局が作り出した中国人の階級差別で、中国社会の不公平の元だ」と述べています。

 

新唐人テレビがお伝えしました。

 

http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2016/02/20/a1253686.html (中国語)

                                

(翻訳/小松 ナレーター/水田 映像編集/李)

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